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北海道経済21年2月号に弊社が掲載されました 2021.1.11

駆除シカ分解装置を9台相次ぎ設置

 オガクズと微生物の力を活用して、大規模な下水道インフラがなくてもし尿を処理できる正和電工(株)のバイオトイレ。その基本的な原理を活用した同社の駆除シカ分解処理装置が、本州で注目を集めている。バイオトイレの改良型も開発中で、同社ではコロナの影響も受けず国内、海外での販売活動に積極的に取り組んでいる。

 獣害に悩んでいるのは北海道だけではない。クマ、シカ、イノシシ…。過疎化が進む山間部の農村から人の姿が消えたことから、野生動物の個体数が増加。それ自体は自然の復活を意味する現象だが、問題はその一部が人里まで出てきて畑を荒らしたり、道路に飛び出してきて車両と衝突するということだ。
 多くの自治体にとり難問となっているのは駆除動物の処理方法。成獣になればクマもシカもイノシシも大きく、焼却するには手間と燃料が必要。土に埋めるには重機で穴を掘らなければならない。いずれの手法でも環境汚染が心配。全国の自治体が被害の拡大だけではなく、駆除した動物の処理方法に頭を悩ませている。
 彼らの強い味方が正和電工の駆除シカ分解処理装置。シカだけでなく、クマやイノシシなどの動物をそのまま装置の中に投入すれば、オガクズと微生物の力で分解。一定の間隔で自動撹拌され、やがて骨だけになる。石油などの燃料を使う必要も、大気・水質・土壌を汚染する心配もない。
 本州ではまず2013年3月に福井県大野市が正和電工の駆除シカ分解処理装置CK600型を3台導入した。その有効性に農林水産省が注目したことも影響し、18年11月には宮城県村田町で1台、20年12月には石川県輪島市で3台、そして今年2月には同県珠洲市に2台、同県穴水市に2台、宮城県丸森町に2台が一挙に導入されることになった。これによりCK600型の出荷台数は合計13台、売り上げは2億5700万円に達した。
 その一方で正和電工は新製品の開発や改良にも取り組んでいる。たとえば駆除シカ分解処理装置と組み合わせて使う骨粉砕機HN-F550。害獣の骨をローラーで粉砕して大きさ3ミリ以下の粒子にする。このサイズにすればニワトリの飼料にできるため、資源の有効活用が可能になる。
 バイオトイレに関しても、故障のリスクを減らすためスクリューを改良し、全体のサイズを変更して既存トイレで使いやすくなったWM-16、キャンピングカーに搭載して旅の自由度を広げるK-05MK、電力の使えない災害時に活躍する手回し式のTM-09などの新商品を開発している。
 正和電工はこれまで、アジアの新興国を中心に海外市場の開拓にも熱心に取り組んできた。プロモーション用の映像を制作したのはその一例。コロナ禍のために海外とはバイヤーや顧客の行き来が難しい状況が続いているものの、ジェトロが主催するネット上での商談会に参加することで、バイオトイレをはじめとする商品の性能と魅力をアピールしている。
 環境負荷が小さいバイオトイレは、下水道インフラの整備が難しい風光明媚な観光地に最適。コロナ禍収束後、世界の観光地に旅行客が戻ってくれば、バイオトイレが活躍する場は一段と広がるはずだ。