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北海道新聞2024年1月6日(土曜日)に弊社が掲載されました 2024.1.10

バイオトイレを開発・普及する正和電工社長 橘井 敏弘さん

 便槽のおがくずの微生物でし尿を処理する「バイオトイレ」を開発・販売する正和電工(旭川)の社長を務める。バイオトイレは処理に水を使わないため、水洗式と異なり、汚水を排出しない。「水をきれいに」を信条としており、国内外で約3500台を販売した。

 1日約50回使用可能な野外用の腰掛け式なら、1基330万円と高額だが、下水道設備がない場所でも使えるため、国内の山小屋やキャンプ場などに導入されている。

 北見市出身。電気設備資材卸会社で働いた後、知人に誘われ、1976年に前身の正和照明商事に取締役として入社。現社名に変更した88年、41歳で社長に就任した。

 45歳の時、胃がんで胃の5分の4を切除。手術後、服薬時に水道水の味が気になって飲みづらくなった経験から、本格的に水について考えるようになった。「水洗トイレは水質汚染につながるのでは」と思い、95年に環境事業部を設立し、バイオトイレの開発に着手した。

 培ったバイオトイレの技術を応用し、シカやイノシシの死骸をおがくずの微生物で分解する装置も10年前に開発した。80㌔のシカであれば、大きな骨だけを残して2週間で分解されるという。1基約2700万円と高額だが、農業被害や処理方法に悩む東北の自治体などに15台を販売した。

 「旭川から世界へ、深刻化する環境問題にモノづくりで挑みたい」。従業員10人規模の中小企業だが、取得した特許は18件に上る。旭川発明協会の会長も務める。76歳。(伊勢裕太)